2018年4月23日

サウス・ダウンズ・ウェイ その1(ディッチリング・ビーコン~デビルズ・ダイク)

2018年4月21日(土)

ナショナル・トレイル (National Trails) の一つであるサウス・ダウンズ・ウェイ (South Downs Way) は、イースト・サセックス (East Sussex) のイーストボーン (Eastbourne) とハンプシャー (Hampshire) のウィンチェスター (Winchester) 間の白亜層の丘陵地を通っている全長約100マイル(161km)のウォーキングルートです。


このトレイルのイーストボーンとディッチリング・ビーコン (Ditchling Beacon) 間は、「サウス・ダウンズ・ウェイを歩こう!」という意図なく、ばらばらな順番で(ブログを始める前も含めて)過去に歩いたことがありますが、これからはその先を順番に歩くことにしました。わが家からはどんどん遠くなっていくので、行き帰りの移動時間の方が実際にトレイルを歩く時間より長くなってしまうし、私たちは公共交通機関を使うので、制約がいろいろあるのは辛いところですが、頑張ります!

・・・というわけで、この日は少し早起きをして、午前8時前に家を出てバスと電車でブライトン (Brighton) へ。駅前からバスに乗って、終点のディッチリング・ビーコンに到着したのが午前11時頃でした。


ディッチリング・ビーコンの名前にある「ビーコン」は、かつて外国の軍艦が接近した時などに、それを知らせる合図として烽火を焚くために沿岸の高台に設けられた場所のことです。ディッチリング・ビーコンは、サセックスのサウス・ダウンズ内ではいちばん高いところに位置しているそうです。


季節柄またまた、かわいい子羊ちゃんたちに出会えました。


左側の写真は、イースト・サセックスとウェスト・サセックス (West Sussex) の境界に立てられた標識で、写真では見えないと思いますが、向かって右側に「イーストボーン」、左側に「ウィンチェスター」と書かれています。


サウス・ダウンズ・ウェイでは有名な2基の風車小屋。正式名称はクレイトン風車小屋 (Clayton Windmills) と言うそうですが、「ジャック&ジル (Jack & Jill Windmills) 」というニックネームの方がよく知られています。写真奥の黒塗りがジャックで、手前の白いのがジルです。現在は両方とも本来の風車小屋としては使われていません(ジャックは住宅として個人所有となり、ジルは慈善団体によって保存されているようです)。ジルは改修工事中のようで、建築工事の足場が組まれているのが写真を撮る上では残念でした。


パイクーム・ゴルフ場 (Pyecombe Golf Club) を抜けて、パイクームの村に向かいます。


村の道端に自家製ブラウニー(値段は一つ1ポンド)の無人販売所が! 包装も凝っていておもしろい! こういうのに弱いので、3種類あった中からトウガラシ入りのを買っちゃいました。帰宅してから紅茶と一緒にゆっくりいただいたのですが、噛んでいる時にはふつうのブラウニーとそれほど変わらず、飲み込む時にのどにピリッと来て、後味がカーッと辛くなるおいしさでした。エミリーさん、ごちそうさまでした!!


さて、このパイクーム村は、かつて羊飼いの杖の生産で名を馳せていたそうです。左側の写真の右下に見えるように、杖の上端が独特の形をしていますが、これを羊の後ろ脚に引っ掛けて捕まえたのだとか。これが村の象徴のようで、教会の入口の門にも同じ形の飾りがありました。

そして、こちらの教会には、珍しく誰でも使える台所設備があって、訪問者(おそらく多くはサウス・ダウンズ・ウェイを歩いている人たち)がセルフサービスで飲み物を作れるようになっています(料金は設定されていなくて、寄付が求められています)。


トイレも設置されていたので、ありがたく使わせていただいたのですが、窓際のフォトフレームに目を引かれて、読んでびっくり!! 「このトイレは、カンボジアにある野外便所と姉妹縁組をしています」とあり、その野外便所の写真の下にカンボジアの Beong Rai 村という名前と、野外便所の位置の緯度・経度が正確に記入されていて「トイレのない人が25億人います。トイレ姉妹縁組を支援することで、貧困を流す手助けができます」と書かれています。慈善団体による「Toilet Twinning」という活動で、寄付を募って貧困地域にトイレを作っているようです。

「トイレ姉妹縁組」のインパクトのおかげで教会の写真を撮るのをすっかり忘れてしまいましたが(笑)、ウォーキング再開です。


木に生えていた大きなキノコ。


カウスリップ (cowslip) は夫のお気に入り。牛や羊の放牧地によく生えていたことから、名前はアングロサクソン語の『牛糞』に由来するそうです。


ディッチリング・ビーコンから6マイルほど(10km弱)歩いて、午後4時前にこの日のゴールのデビルズ・ダイク (Devil's Dyke) に到着しました。「dyke」は、イギリス英語では「みぞ、水路」という意味。アメリカ英語では 「dike」 と綴り、「堤防、土手」というずいぶん違う意味で使われていることを夫に話すと「えーっ!? うっそー!!」とまでは言いませんでしたが、ずいぶん驚いていました。

デビルズ・ダイクは、直近の氷河時代に大量の雪解け水によって削られてできた地形ですが、地元の言い伝えには「悪魔が教会を水浸しにしようとして、海から水を引いてくるための溝を夜間に掘っていたところ、老女がろうそくを持って通りかかった。悪魔はろうそくの火を夜明けだと勘違いして立ち去った」という話があるそうです。

デビルズ・ダイクからブライトンに向かう帰りのバスがバス停にやって来たのは、何とほぼ1時間遅れ。ブライトンで開かれていたイベントの影響でひどい交通渋滞があったのが原因とのことでした。ちょっと予定が狂ってしまいましたが、午後7時頃に帰宅しました。

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