2012年9月28日(金)
9月28日(金)~29日(土)にウェスト・サセックス (West Sussex) の州都チチェスター (Chichester) へ一泊旅行に出かけました。私たちが住んでいる町から電車を乗り継いで片道2時間~2時間半の場所なので、頑張れば日帰りもできるのですが、のんびり楽しみたかったのと、何よりもイギリスで暮らし始めてから(日本に2度帰省した他は)泊りがけで出かけたことが一度もなかったので旅行気分を味わいたくて、宿を予約し、夫を引きずって(?)行ってきました。
この日は正午過ぎにチチェスターの駅に到着。電車を乗り換えて一駅となりのフィッシュボーン (Fishbourne) の村に行き、古代ローマ宮殿跡 (Fishbourne Roman Palace & Gardens) を見学しました。
にわか雨が降ったり止んだりのお天気でしたが、ご覧のとおり屋根があるので心配なし。タイミングよくガイドツアーが行われたので参加したのですが、このガイドの男性が秀逸でした。考古学者で知識も経験も豊富な上に、大きな声ではっきりと、ユーモアも交えて熱っぽく説明をしてくれたので、すっかり引き込まれて飽きることなく楽しく見学できました。
そもそもこの遺跡が発見されたのは1960年代のこと。水道会社が水道管を敷設するためにフィッシュボーンの村の北側にある農地を買って、1960年に工事を始めたところ古い建築物の残骸が大量に見つかったのがきっかけで、それから徐々に考古学の専門家たちが発掘調査を行いました。
1世紀後半のころの予想復元模型です。実際に「宮殿」だったのかは不明だそうですが、その規模の大きさからこの名前が付けられたそうです。ここで公開されている遺跡は北側の建物の一部、赤いペンで囲まれている部分です。青いペンで描いた南半分は残念ながら(?)フィッシュボーンの村の下に埋まっているとのこと。
発掘調査で発見されたのは、主に各部屋のモザイク床です。1世紀~3世紀のいろいろな時期に作られたもののようです。
いちばんきれいな形で残っているのは、こちらの「イルカに乗ったキューピッド (Cupid on a Dolphin) 」と名付けられた2世紀半ばのモザイク床です。中央がへこんでいるので、下に何があるのかを調べるために一度床を剥がしたそうです。「この床のモザイク小片は約36万個あるんです。どうやったかというと、一片ずつ剥がしてですね、後で元に戻せるように一つずつ順番に番号を打ってですね・・・・・・というのはウソです。」実際は(と言っても技術的な詳細は私には理解できませんが)小さな区画ごとに剥がしていったそうですが、下にあったのは何と別のモザイク床。それも剥がして、見つかったのはごみを埋めるための穴。「宮殿」が建てられる前、この土地が古代ローマ軍の駐屯地として使用されていたころのものだろうとのことです。下側にあったモザイク床は別の場所に移動して展示されています。
すばらしいモザイク床の数々を目にし、2000年近くも遥か昔に思いを馳せた一時でした。
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