こちらの面の中央にはカメ。博物学者ギルバート・ホワイト (Gilbert White, 1720-1793) のおばさんがリングマーに住んでいて、庭でティモシー (Timothy) という名前のカメを46年間飼っていたのだそうです。そのおばさんが1780年に亡くなった際、80マイル(約130km)離れたハンプシャー (Hampshire) 州セルボーン (Selborne) で暮らしていたギルバート・ホワイトがティモシーを引き取り、1794年にティモシーが亡くなると、その甲羅をロンドン自然史博物館に贈ったのだとか。
カメの絵の左側には、アメリカのハーバード大学の創設に寄与したジョン・ハーバード (John Harvard, 1607-1638) が、リングマーの牧師の娘アン・サドラー (Ann Sadler, 1614-1655) と1636年に結婚したことが書かれ、右側には、アメリカのペンシルベニア州を整備したウィリアム・ペン (William Penn, 1644-1718) が、リングマー出身のグリエルマ・スプリンゲット (Gulielma Springett, 1644-1694) と1672年に結婚したことが書かれています。
下部には紋章が三つ並んでいます。左から、1086年に作られた土地台帳にリングマーを含む地域を所有していたと記されているモルタン伯ロバート (Robert, Count of Mortain) の紋章、カンタベリー司教管区の紋章、スプリンゲット家の紋章、だそうです。
(写真は Sussex Wildlife Trust のウェブページから)
背景に描かれている青い花はランピオン (rampion)。特にサセックスのサウス・ダウンズ (South Downs) によく見られることから「Pride of Sussex (サセックスの誇り)」とも呼ばれるこの花は、サセックスの州花です(・・・と偉そうに言いながら、実は今まで全然知りませんでした)。
最下部には「ヘイスティングスまで27マイル(43km強)」と書かれ、道路標識の役割も果たしています。
もう片面は、あっさりしたデザイン。中央に描かれているのは、1889年に東西に分割される前のサセックスの紋章です。背景には交差した二本の剣と棕櫚(シュロ)の枝。これは、リングマーから3マイル(4.8km強)離れたルイス (Lewes) に11世紀に建てられ、ヘンリー8世の下で16世紀に解散させられたクリュニー会修道院の守護聖人である聖パンクラティウス(またはパンクラス)が、剣と棕櫚の枝を持った騎士の姿で描かれることが多いのに由来しているようです。
リングマーにつながりのある情報をぎっしり詰め込んだ感のある村名看板。あれこれ調べて勉強になりました。まちがったことも書いているかもしれませんが、お目こぼしお願いいたします(笑)。
<リングマー関連記事>
グラインドからリングマーまで
0 件のコメント:
コメントを投稿