2013年3月1日

『マップとルチア』ウォーク

2013年2月26日(火)

3か月ぶりとなったヘイスティングス・ストローラーズ (Hastings Strollers) のぶらぶら歩きはライ (Rye) の街。今回は、ライの町長も務めたことがある作家E.F.ベンスン (Edward Frederic Benson, 1867-1940) がライを舞台にして書いたシリーズ小説(『マップとルチア』シリーズ)ゆかりの場所を訪ねようというテーマの街歩きです。(参加したのは私を含めて3名でした。)

事前にリーダーから「6作全部読む気がなかったら、『マップとルチア (Mapp and Lucia) 』だけ読んでいたら、大体足りるわよ。」と言われていたので、それに従って、1931年に刊行されたこの4作目だけ読んで出かけました。

このシリーズ小説は、1920~1930年代のイギリス上流中産階級の生活を描いたもので、ライは作中「ティリング (Tilling) 」という名前になっています。私が読んだ『マップとルチア』は、未亡人ルチアが他の町からティリングにやって来て、それまでティリングの町の社交の中心人物だったマップの女王の座を奪ってしまうという話です。チャリティーのためのガーデン・パーティーや町の美術クラブの展覧会、おいしいロブスター料理のレシピなどを巡って二人の女性が繰り広げる戦いを町の住人たちは興味津々で見ています。数々の意地悪やいやみの応酬の連続なのですが、陰湿な感じは全然なく、たとえるなら『いじわるばあさん』の漫画を読んでいるような・・・と言ったら変(かつ古すぎる)でしょうか。


ルチアが借りていたマップの家の「マラーズ (Mallards) 」という屋敷のモデルとなったのは、こちらの「ラム・ハウス (Lamb House) 」。アメリカ人作家ヘンリー・ジェームズ (Henry James, 1843-1916) が住んでいたことで有名ですが、その後E.F.ベンスンが住んでいた時期もありました。現在はナショナル・トラスト (National Trust) が管理しています。作中ガーデン・パーティーが開かれた庭の写真は「1066カントリー・ウォーク その4」と「 ラム・ハウス」 の記事で。


「マラーズ」(ラム・ハウス)の正面から聖母マリア教会を望む光景。作中ではルチアが絵を描くシーンで「煙突が曲がっている家」が登場します。煙突だけではなくて写真全体が曲がっちゃっていますが、悪しからず。


マーメイド・ストリート (Mermaid Street) (作中では「ポーパス・ストリート (Porpoise Street) 」)にある、昔病院だったという大邸宅は、作中のワイズ (Wyse) 夫妻宅のモデルになったそうです。


ワイズ夫妻は歩いて行けるような距離でも、いつも大きなロールスロイス車に乗って出かけます。こんな角を曲がれなくて苦労する光景もティリングの町では日常茶飯事でした。


聖母マリア教会のこちらのステンドグラスは、E.F.ベンスンがご両親をしのんで寄贈したものだそうです。

他にも、作中の主要登場人物たちの住宅のモデルとなった家や、いろいろなエピソードの舞台となった場所を訪ねて、興味深い時間を過ごしました。1985~1986年にシリーズがテレビドラマ化された時には、ライのウォッチベル・ストリート (Watchbell Street) が撮影に使われたそうです。ライでは、「E.F.ベンスン協会 (The E.F. Benson Society) 」によるガイド・ウォーク(有料)も行われているようです。

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